主な不妊治療について
主な不妊検査の内容
不妊治療のほとんどは、西洋医学に基づいた治療です。西洋医学的な不妊治療では、まず不妊の原因を探すための検査を行います。
そして、それぞれの原因に応じた治療を行います。実際にどんな検査や治療が行われるのか、一般的な内容をご紹介します。
女性側の主な検査
問診では、夫婦生活の状況などを調べます。全身状態を調べる内科の一般検査、子宮ガン、性感染症などの婦人科の一般検査のほか、不妊治療特有の検査を行います。検査は、月経周期によって「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」の4ジャンルに分けられます。
それぞれの主な検査について見てみましょう。
・卵胞期の検査
卵胞期とは、卵巣内で卵子が育つ期間です。生理の終了後から排卵前の期間までを利用して行われます。卵巣内での卵子の発育状態、卵管の詰まり具合、ホルモン分泌の状態、子宮の異常(子宮筋腫、ポリープ、奇形、炎症、癒着など)の有無を調べます。
・排卵期の検査
排卵の数日前から、排卵後に基礎体温が高温になるまでの期間に受ける検査です
。
超音波検査によって、卵胞の大きさを測定して排卵日を予測します。性行為のタイミングもこのときに指導されます。また、ホルモン検査のほか、性行為前後で子宮頸管粘液の状態を調べる検査なども行われます。
・黄体期の検査
排卵後から生理前までの期間に受ける検査です。超音波検査によって、卵胞の状態を観察して排卵が行われたかどうかを調べたり、子宮内膜の厚さをチェックします。
また、ホルモン分泌の状態も検査します。
・月経期の検査
生理開始の2〜5日目に行われる検査です。ホルモン検査のほか、月経血を培養して結核菌の有無を調べる検査を行います。
男性側の主な検査
問診では、夫婦生活の状況、性欲や勃起、射精の状態について調べます。
また、視診や触診によって精巣の形や精管、前立腺の状態なども調べます。
さらに、次のような検査も行われます。
・精液検査
マスターベーションで採取した精液から、精子の数や運動の状態、白血球数などを調べます。その日の体調やストレスの状態によって、検査結果が左右されやすいため、2回以上の検査が勧められています。
・精巣生検
精液検査で異常があった人には、精巣(睾丸)の状態を調べる詳しい検査を通常泌尿器科で行います。この検査によって、停留睾丸や静脈瘤の有無なども調べられます。
その他、必要に応じてホルモンの状態を調べる検査や染色体検査、精子の通り道(精管)の通過障害を調べる造影検査なども行われます。
主な不妊治療の内容
不妊治療は、不妊検査から人工授精までの「一般不妊治療」と、体外受精や顕微授精などの「高度不妊治療」の2種類に分けられます。
それぞれどのような治療なのかを見てみましょう。
また、男性の不妊治療については「どうして不妊になるの?」をご覧ください。
一般不妊治療
上で見てきたような不妊検査を受けながら、排卵日のタイミングを予測した性交のタイミング指導が行われます。
また、検査で不妊につながる原因が見つかった場合、その治療を行います。
この時期に行われる治療には、たとえば次のようなものがあります。
・排卵誘発剤の使用
排卵の障害が疑われる場合、排卵を助ける働きをする薬を使います。
初期には、卵胞刺激ホルモンの分泌を促して排卵を誘発する「クロミッド」などの内服薬を使い、それでも効果がない場合には、「HMG」などの注射を使います。
・人工授精
女性側では子宮頸管粘液が不足していたり、抗精子抗体があるなど、精子が子宮内に入りにくい障害がある場合、また男性側では精子の数が少ない、
運動性が悪い、性機能障害がある場合などに「人工授精」が試みられます。
マスターベーションで採取した精液をそのまま、あるいは洗浄・濃縮して注射器で女性の子宮内に注入します。
高度不妊治療
一般不妊治療を試して妊娠できない場合には、高度不妊治療へ進むという選択肢があります。
しかし、原因によって、または年齢的に余裕がない場合には、早めに高度不妊治療に進んだ方がよい場合もあります。
主な不妊治療には次のようなものがあります。
・体外受精
排卵誘発剤で排卵を促し、卵巣から直接卵子を採取し、状態の良い卵子を選んで
培養液に入れます。同時に、男性はマスターベーションによって精液を採取し、
元気な精子だけを選び出します。これらの卵子と精子をシャーレに入れて、
受精させます。細胞分裂が進んだ受精卵の中から状態が良いものをチューブで
子宮内に入れます。そして、無事着床できれば、妊娠になります。
・顕微授精
体外受精を行って、精子が卵子の中に入れない「受精障害」が分かった場合には、
顕微授精という選択肢があります。これは、顕微鏡を見ながら、採取した卵子の
中にガラス管を通し、精子を入れる方法です。
この方法により、たとえ1匹でも
精子がいれば、受精ができるようになりました。
受精後は、体外受精と同じように子宮内に移し、着床を待ちます。
東洋医学で不妊治療を目指す場合
西洋医学の病院で検査を行っても、原因が分からなかった場合、また西洋医学的な治療を行っても妊娠できなかった場合には、東洋医学による治療を試みるのも一つの方法です。
西洋医学では、通常は検査によって病気や障害の原因を見つけ、薬や外科的処置などによってその器官や部位を治療する方法が取られます。
一方で、東洋医学は全身の機能を整えることで、病気や障害を改善していくという考え方をします。そのため、東洋医学の治療は効き目が穏やかで、時間をかけて症状を改善していきます。
東洋医学による不妊治療では、主に漢方薬による治療が行われます。
女性の場合は、ホルモンバランスを調整する効果があるとされる「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」など。男性の場合は、精子の運動性を良くし、数を増やす効果があるとされる「補中益気湯 (ほちゅうえっきとう)」「八味地黄丸(はちみちおうがん) 」などの漢方薬がよく使われます。
また、鍼灸や指圧によって血の巡りを良くしたり、整体によって骨盤の歪みを治すことによって、妊娠しやすい体に導く方法もあります。
監修/三鷹レディースクリニック院長 天神尚子先生

