不育症、2人目不妊、不妊ストレス
妊娠をしても出産までに至らない「不育症」
妊娠をしても流産を繰り返し、妊娠を継続できないケースもあります。
連続2回以上の流産をすることを「反復流産」と言い、連続3回以上の自然流産を繰り返すことを「習慣性流産」と言います。
また、流産の危機を乗り越えても、早産や死産が起こってしまうこともあります。
このように、妊娠はできるのに出産に至らないケースを総称して「不育症」と言います。
子どもを産める年齢の女性の約1%に見られると言われています。
不育症の原因は多岐にわたり、複数の原因が重なることもあります。
また、原因が分からないケース、特定的できないケースも多いものです。主な原因と治療には、次のようなものがあります。
遺伝的な要因
夫婦双方、またはいずれかに染色体の異常があるために、受精卵の染色体異常が起こり、流産してしまうケースです。しかし、親の染色体異常が必ず遺伝するとは限りません。
ホルモンの異常によるもの
たとえば、妊娠を継続させるための女性ホルモン「プロゲステロン」の分泌が不足している場合、甲状腺に異常がある場合、乳汁を分泌させるホルモン「プロラクチン」が多すぎるなどの場合があります。
治療には、ホルモンを補充したり、コントロールする薬などが使用されます。
子宮の問題
子宮の奇形、筋腫などによって着床や胎盤・胎児の発達が妨げられるケースです。
手術によって奇形部分を修正したり、筋腫を取り除く治療が選択されることもあります。
免疫的な要因
免疫的な問題があり、受精卵を「異物」と見なして排除しようとする障害です。
自己免疫異常による場合や、母親と胎児のHLA(組織適合抗原)のタイプが違うために起こる場合などがあります。
抗体を抑える薬の服薬やリンパ球移植などの治療が選択されます。
感染症
クラミジアなどの性感染症が原因となり、流産が引き起こされるケースです。 抗生物質の投与などでしっかり治療することが大切です。
「2人目不妊」に悩んでいませんか?
1人目は自然妊娠できたのに、2人目がなかなかできない人もいます。このような不妊症を「続発性不妊症」といいます。
続発性不妊症のもっとも大きな要因となるのが、「加齢」です。子宮内膜症や子宮筋腫などの障害がなくても、30代後半以降は卵子の質や子宮の機能が低下し、ホルモンの状態も変化するため、妊よう率(受精・着床する確率)は著しく低下します。
また、男性の側もストレスや体調の変化によって、精子の状態が悪くなっている場合があります。したがって、排卵日前後に性交しても、なかなか妊娠できないことも珍しくありません。特に、30代に結婚した人で2人以上子どもが欲しいなら、まず1人目の妊娠になるべく早くトライし、スムーズに2人目も授かれるように妊娠・出産・育児計画を考えましょう。
また、1人目の出産時に大きなトラブルがあったり、細菌などに感染した場合、子宮や卵管に癒着が起こって不妊に結びついていることもあります。
いずれにしても、毎月排卵日前後に性交しているのに、2人目を妊娠できない場合には、約1年後には受診した方がいいでしょう。1人目でも2人目でも、不妊症の検査や治療の内容は基本的に同じです。
「不妊ストレス」は一人で悩まないで
一般的に不妊の悩みや治療に費やす期間はとても長く、その間は、受診、仕事との両立、金銭的な問題、夫婦生活や両親との問題など、たくさんの負担を抱えやすくなります。不妊ストレスに対処するために、次のようなヒントを参考にしてみてください。
他人の言葉は聞き流しましょう
「子どもはまだ?」「いつまでも独身気分じゃダメよ」「早く産まないと年齢的リミットが来ちゃうわよ」「子どもがいると楽しいよ」など、家族や他人が何気なく発する言葉が矢のように突き刺さることも多いでしょう。
しかし、こうした言葉はすべて聞き流してしまいましょう。
努力しているのになかなか願いがかなわないときには、他人の言葉にとても敏感になりがちです。
しかし、気にしてもポジティブにはなれませんし、喧嘩をすればさらに気分が悪くなるだけです。
適当にあしらって、「自分は自分」と考えましょう。
あせらず、ゆとりを持ってトライを
不妊治療を始めると、妊娠することだけが人生の最大目的になり、脇目を振らずに治療に取り組んでしまう人が多くなります。しかし、不妊治療は必ず結果が出るというものではありません。治療に一生懸命になりすぎて、緊張感と切迫感に縛られた生活を送っていると、疲れて精神的に立ち行かなくなります。
また、気が付けば自分だけが夢中になり、夫婦の考え方に隔たりが生じていた、ということもあります。
煮詰まったときには、いったん治療を中断し、のんびり過ごすことも大切です。
夫婦で旅行に出かけてみるのもいいでしょう。精神的な緊張感がほどけたときに、思いがけず自然妊娠できた、という人も多いものです。
同じ悩みを持つ仲間と語り合いましょう
不妊の悩みは、当事者でないとなかなか分かってもらえないことが多いものです。
そのため、友達や母親、姉妹に相談しても、なんとなく腑に落ちなかったり傷ついたりすることがよくあります。
そんなときには、不妊の悩みを抱える人同士で悩みを打ち明けあいましょう。
インターネットでも、不妊に関連する投稿サイトや掲示板はたくさんあります。
また、不妊に悩む人たちの自助グループや、保健センター、女性センター、男女共同参画センターなどが主催するサロンもありますので、参加してみるのも一案です。
カウンセラーに相談するという方法も
不妊の悩みは、当事者同士で打ち明け合うという方法の他にも、専門の「不妊カウンセラー」に相談するという方法もあります。不妊治療専門の病院の他、地域の保健センターや女性センター、男女共同参画センターなどでも不妊相談窓口を設けているところもあります。
不妊カウンセラーは、悩みを親身に受け止めてくれるほか、不妊症の解決に必要な医療や支援などの情報も教えてくれます。
また、最新の不妊治療や総合的に不妊症を理解するための情報は、自治体や病院が主催するセミナーなどもありますので、利用してみるのもいいでしょう。
納得して治療を受けましょう
不妊治療を続けていると、「治療方針や主治医の説明にどこか疑問を感じる」「何年通っても、同じような治療を繰り返すばかりで先が見えない」というように治療への不信や不満を抱くこともあるでしょう。その場合には、疑問に思うことを医師に質問してみましょう。納得できない場合には、病院を変えてみるのも一つの方法です。
ただし、初診から半年間は様子を見ること。検査から治療の結果を得るまでに、最低半年ははかかるからです。今までの検査データを持って転院した方が、費用的にも時間的にも節約できるため、引っ越しや転勤のように角の立たない口実を使う方がいいでしょう。
監修/三鷹レディースクリニック院長 天神尚子先生


